わたしはたち。

おやすみ世界

おひっこし。

いえをたてた。

わたしが学校に行かなくなったころ、妹が中学受験をするころ。親がコンビニ行ってきたみたいな声で「土地買っちゃったー!」って感じで、家を建てた。

なんて軽さだ。

まぁそれなりに駅前が栄えているところ、元高級住宅街らしいそこは、近所に豪邸も多くて、のどかだった。

別に、自慢とかじゃなくて、大きい家しか建てられない地域ってだけで、うちは一般家庭。


学校に行けなくなって、鏡と睨めっこ、家を出る準備に2時間かかり、すぐに泣いて癇癪を起こす、幼児退行したわたしを母は、毎日のように外に連れ出し、家を建つ様子を見に行った。

体力もなく、栄養が足りてなくてイライラしているわたしを父は週末にサイクリングに連れて行ってくれた。


引っ越したことで、外出しても知り合いに会う恐怖がなくなり、引きこもりから脱却した。


しばらくして、お母さんが「犬飼いたくない?」と言い出して、6ヶ月の母犬候補だった小さなトイプードルと出会い、とてつもなくアクティブになった。


動物のセラピー効果は偉大で、症状が良くなることは特になかったけど、寂しさとか自己肯定感とか、紛らわされて、幸福度は上がった。


引っ越ししてよかったーって感じ。