ジショウ癖
小さい頃から集団がものすごく苦手だった。
小学校は、馴染めなかった。ただ、休むと親の機嫌が悪くなるので、頑張って通っていた。いじめもあったが、正直なところ、記憶が飛んでいてあまり覚えていない。両手の皮をズル剥けにさせたり、授業中にコンパスの針を手に刺したり、注意されても手悪戯が治らない、ストレスで知らず知らずのうちに自分を傷つけていた。親に手袋をはめられたが、中学3年生まで治らなかった。
中学校はもっと苦手だった。中学2年から通い始めた塾のおかげで居場所が出来て、勉強は楽しかった。やればやるほど結果がついてきて、英語の偏差値が塾内模試で71になった時は本当に本当に嬉しかった。周りからかけられた暴言とか、容姿に対する罵倒とか、ぶっちゃけあまり覚えていない。ただ傷ついた、だけ。
お母さんが酔っ払って話した、絶縁しているおばあちゃんの話がきっかけで、私は手の甲にハサミで傷をつけるようになった。
申し訳ないけど、13歳の子供には少し重すぎたのだ。行き場のない感情と、誰にも相談できない内容で、消化するには自分を傷つけるしかなかった。
中3の冬、学校にほぼ通わなくなった。受験に必要な日数と成績が出終わったからだ。
大学まで一貫の学校に高校から入学した。
めちゃくちゃ面白い友達が沢山できた。放課後にディズニーに行ったり、テスト期間はグループ通話をしたり、ものすごく充実していた。
でも、同じグループの中に、リストカットをする子が2人いた。私も左腕に傷をつけるようになった。最初は消える程度の可愛い傷。
そのうち、数も深さもひどくなり、手首から肘までの一面がびっしり切り傷だらけ、縫うほどの深い傷、気がついたらリスカをしていた友達よりもひどい状況になっていた。
泣く友達、困り果てる養護の先生、キレる親。
母親と衝突するたびに縫うほどの深いリスカをするようになった。過食嘔吐した回数だけ二の腕を切るようになった。
高校をやめてからも変わらずに、結局専門学校に入ってから数ヶ月続いた。
今年の6月で、リストカットを辞めて一年が経った。
やめたきっかけは、正直よくわからないけど、縫うための医療費が高すぎたのとか、専門学校の実習でしみるとか、割としょうもないこと。
別にやめよう!って思ったわけじゃなくて、気がついたら切らなくなっていた。